-年収の壁ってなんだ?-

年収の壁とは何のことでしょうか?支援パッケージ、政府が対策を始めた。等最近何かと話題の「年収の壁」、よく聞くのは、106万の壁、130万の壁ですが、この数字だけを意識しているとちょっとした落とし穴があります。所得税だけではなく、扶養から外れる。健康保険が外れてしまう。等気にしなければならないことは実はたくさんあります。こういったところはやはりきちんと知識として得ておく必要がありますよね!
所得税だけ気にしていればいいの?年収の壁ついて詳しく知れる書籍をご紹介

ビジネスガイド-2024年-01月号

特集
「年収の壁・支援強化パッケージ」実務対応
[年収106万円の壁への対応]
キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)活用のポイント
社会保険労務士 伊藤 泰人
社会保険適用促進手当を活用した制度設計
社会保険労務士法人 名南経営 特定社会保険労務士 宮武 貴美
[年収130万円の壁への対応]
事業主の証明による被扶養者認定の実務
社会保険労務士法人 名南経営 特定社会保険労務士 宮武 貴美
[配偶者手当への対応]
属人的手当の見直しに関する実務
社会保険労務士 川嶋 英明 他
働き方と年収の壁の経済学

内容説明
日本の働き方改革の契機であるIMF(国際通貨基金)専務理事の提言レポートに、本書の元論文が引用文献としてあげられています。本書を読むと、日本の労働市場や働き方の特徴が理解できます。
目次
第1部 経済課題と、日本存続のための働き方改革(日本の喫緊の経済課題;なぜ女性活躍が日本経済の存続なのか)
第2部 労働市場の経済学・歴史・実証分析(日本の労働市場の経済学;経済・社会システムとしての日本労働市場の歴史 ほか)
第3部 パートの「年収の壁」と税・年金制度の経済学・歴史・実証分析(財政学でみる「年収の壁」と配偶者控除等の歴史;計量経済学分析:女性の働き方選択と、「パートの壁」制度の中立性 ほか)
第4部 グローバル社会で存続していくための、日本の働き方ダイバーシティの課題(ジョブ型働き方実現のための韓国・中国企業との経済学比較分析と、日本労働市場の課題;若年男女が活き活きと働くための、キャリア形成の現状・政策提言・リーダーからのメッセージ)
著者等紹介
石塚浩美[イシズカヒロミ]
経済学者(新古典派)、Leading Economist(VoxEU)。博士(社会科学(経済学):お茶の水女子大学)、修士(経済学)。東京都立大学(現・首都大学東京)大学院博士課程(経済学)単位取得満期退学。専門:労働経済学、応用ミクロ経済学、国際経済、公共経済学、経済政策、計量経済学、日本および東アジアの男女の就業と経済社会システムの経済学分析。『中国労働市場のジェンダー分析―経済・社会システムからみる都市部就業者』勁草書房、2010年刊(「国際開発研究大来賞」最終候補)
知らないと損をする配偶者控除「つまりいくらまで働ける?」がわかる本 令和最新版

税金を増やし控除を減らす「年収の壁」攻略の手引き書!いくらまで働けるか見積れる収入ケースと計算表も掲載。
第2章 そもそも「配偶者控除」って?
第3章 配偶者特別控除と「150万円の壁」
第4章 住民税の壁は「100万円」「155万円」
第5章 社会保険の壁は「130万円」「180万円」「106万円」
第6章 税金でも保険でもないけど、影響が大きい「配偶者手当」
第7章 収入ケース別に見積もる「いくらまで働ける?」
年収の壁についての豆知識
年収の壁とは扶養の範囲内でいくらまで働けるのか?働きすぎてしまうと、扶養から外れ各種税金や保険などが個別でかかってくるようになってしまうため、働き損が起こる。という、問題の総称ですね。
年収の壁っていくらなの?
年収の壁は主に以下の金額があります。
103万円、106万円、130万円、150万円
年収の壁の前に、そもそも扶養とはどんな内容なのでしょうか?
扶養とは、一人で生計を立てることができない人を、ほかの親族の稼いだお金で養うことを言います。わかりやすく言うと多くのご家庭の場合は「お父さん」の稼ぎで、家族が生活をしていれば、お父さんの家族の皆さんはお父さんに扶養されている。という状況になります。
お父さんのことを「扶養者」と呼び、家族のことを「被扶養者」と呼びます。
年収の壁と扶養内で働くこと
扶養されている状態でも、働くことは可能です。いわゆる夫婦共働き、や子供が成長したときに行うアルバイトなどがこれに当たります。ただしたくさん稼げるようになると、一人で生計を立てられる。となるので、扶養から外れてしまう。ということが起こってきます。
ということで、扶養の範囲内(一人で生計を立てられない)で働くにはいくらまで稼ぐことができるのか?
この内容が年収の壁となるわけです。
社会保険の扶養、税法上の扶養
年収の壁というと主には税法上の扶養をさすことが多いですが、実は社会保険上にも扶養の考え方があり、考慮漏れをしてしまうことがあります。特に社会保険上の扶養は単純な金額だけではなく、扶養者の稼ぎに対する割合などの関係も出てくるため、注意が必要です。
社会保険上の扶養
社会保険上の扶養とは、被扶養者は個別に社会保険や厚生年金を払わないでよい。という制度です。
社会保険上の扶養範囲内の年収の壁は、130万円です
どういうことかというと、被扶養者の方が130万円以上稼ぐと、扶養から外れてしまう。ということで、社会保険上で扶養から外れる。ということは、自分で保険料と年金を払わないといけなくなるということです。
社会保険上の扶養には130万円の壁のほかに、扶養者の収入の50%を超えた収入を得てしまうとその時点で扶養から外れる、という仕組みがあるので、注意が必要です。
また以下の条件で扶養から外れてしまうケースがあるので注意が必要です。
- 所定労働時間が週20時間以上
- 1カ月の賃金が8.8万円以上
- 勤務期間が2ヶ月以上の見込み
- 勤務先の従業員が101人(2024/10以降51人以上に変更される予定です。)以上(厚生年金の被保険者数)の企業
- 学生は対象外
上記のケースに当てはまると、130万円ではなく、106万円から社会保保険料、年金の加入が必要になります。これが106万円の壁です。
税制上の扶養
税制上の扶養はよく話題になるいわるる「年収の壁」のことです。
税制上の年収の壁は、103万円、150万円の2点のポイントがあります。
税制上の扶養であれば、働いて得た収入の中から所得税を支払わなくて済みます。
103万円の壁
被扶養者の収入が103万円までであれば、所得税がかかりません。
150万円の壁
被扶養者の年収が150万円以内であれば扶養者は配偶者控除により38万円の控除を受けることができます。また最大201万円までは段階的に配偶者控除を受けることができます。
扶養者は複数になることがあり得ます(配偶者と子など)。この複数の配偶者の場合、合計金額についてもルールが定められています。
扶養者の所得合計が1095万円以下の場合、扶養者の配偶者控除は、38万円になります。1095万円~1145万円以下の場合、配偶者控除は26万円になります。1145万円~1195万円以下の場合配偶者控除は13万円となります。
住民税の壁、100万円
ほかにも、住民税がかかってくるようになる収入の壁が100万円となっています。100万円以内であれば住民税もかかってきません。
「年収の壁」支援パッケージ
ここまでご紹介したように、扶養の中では太郎公とすると荒湯つところに壁「年収の壁」が存在します。
この年収の壁が原因で働き控えが発生してしまう問題があります。これは働く側にも問題がありましたが、雇う側も就業調整などの問題となっていました。
年収の壁によってどのような負担になるか?簡単な例を見てみましょう。
例えば、年収が106万円の場合には、健康保険料と厚生年金保険料の合計で年間約16万円の自己負担が生じ、手取り年収は90万円弱にまで減ってしまいます。
105万円であればそのまま全額が収入に、106万円になると、90万円に減ってしまう。。であれば105万円以内の収入に抑えておこう!となりますよね。
こういった働き控えに対する政府の支援が始まります。
従業員一人当たり50万円の支給
上記のような働き控え、壁に当たることによる手取りの減少を生じさせないように、手当の支給または賃上げ、労働時間の延長を行う企業に対して従業員1人当たり最大50万円が支給されることになっています。
収入が増え社会保険料が発生した場合、本に負担分の16万円を手当てとして従業員に支給した場合、この16万円は国から補助される仕組みになっています。
長年働き控えの原因となっていた年収の壁ですが、政府が改善に向けて動き出しているので今後の政策を注視しておくことがおすすめです。
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